しかし、どんなに優れた機械でも、永久に新品の状態を維持できるわけではありません。長い間運転を続ければ摺動面が徐々に摩耗を起こし、精度が低下し、不良の原因になります。品質を維持するためには定期的に設備を点検、保全する必要があります。
設備メーカーに点検を委託もできますが、当社では設備台数が多く点検周期も短いため、定期点検は社内のオペレーターが行います。異常個所があれば、修理も社内で行います。設備の点検・保全まで自社で行なう会社はねじ業界では数少ないと思いますが、「自分の設備は自分で守る」というのが当社のモットーなのです。
実はこれが、当社の品質だけでなく、開発力の高さにも多大な貢献をしています。モータースポーツに例えていうと、ドライバーがメカニックの仕事までできるということです。メカを熟知したドライバーほどマシンのセットアップ能力が高いと言われていますが、これと同じで、設備に精通したオペレーターが生産の作業をすることで品質が向上したり、普通の人では気付かない故障の前ぶれを感じ取り、未然に故障を防ぐこともできます。また、他社にはできない難しい加工が可能になり、新製品やコストダウンに繋がります。
製造業の会社は、それぞれ必要に応じて
・MAN(オペレーターのスキル)
・MACHINE(設備の性能、精度、能力)
・MATERIAL(材料の品質)
・METHOD(標準化された仕事の手順)
いわゆる4Mに経営資源を投入し、品質や技術を高めます。
当社の場合、とかく設備に資金を重点的に投入しているように思われがちですが、それよりも人材の教育訓練への投資を優先しています。一見遠回りに見えそうですが、設備に強い従業員を育てることで機械は常に理想的な状態を維持することができるため、故障が少なく、結局は設備にかかるコストは低く抑えることができるのです。
摩耗は放っておくと拡大し、精度はますます低下します。そして加工にバラツキが出始めます。これをさらに放置すると、機械のいろいろな所にガタが出て、最終的には故障が発生します。定期的に設備を点検していれば、早く異常を発見できて、修理が安く済む場合もあります。当社の主力設備は最新のものに更新しつつありますが、30年以上使用した古い機械をオーバーホールして不良検出装置を装備し、いまだに現役で頑張っているものもあります。高い技能、経験、向上心と機械への愛情を持ったエリートのオペレーターがいるからです。
当社は同業のねじメーカー様向けに、設備の点検・改良、オーバーホールのサービスを
提供しております。
日本のねじメーカーが高品質なねじを供給することで産業界が発展し、不況を乗り越えられるよう、微力ながらお手伝いさせていただいております。